プログラム概要
美祢市秋芳町別府の別府弁天池周辺地域は、市内でも有数の観光地で来訪者は多い一方、滞在時間が短く、通過型の観光地となっており、地域の産業を支える担い手不足が課題となっています。
※1 カルスト台地に由来する赤土で育てられるのが特徴で、きめが細かく柔らかな肉質と香りの良さで高い評価を受けている美祢市を代表する特産品
実施内容【第1回:9月20日〜21日】
参加者とスタッフが円になっての自己紹介からプログラムはスタート。年齢も居住地もさまざまな参加者が美祢に集い、この数日間をともに過ごす仲間として顔を合わせる時間となりました。
プログラムの最初は稲刈り体験から始まる予定でしたが、初日はあいにくの雨天。行程を一部入れ替え、蕎麦づくり体験から始まりました。4つのチームに分かれ、地元のお母さんたちに教わりながら、粉の状態から挑戦。はじめは形になるイメージすら湧かなかった蕎麦生地も、こねて、混ぜて、を繰り返すうちに少しずつまとまり、チームごとに役割を分担して、無事に完成しました。仕上げには、お母さんたちが手際よく揚げてくださった天ぷらを添え、自分たちで打った蕎麦を実食。手間をかけてつくった一杯の味を通して、地域の食文化に触れる時間となりました。
蕎麦づくりの後に訪れたのは、日本名水百選にも選ばれている別府弁天池。エメラルド色に澄み切った水面は、しばらく眺めていたくなるほどの透明感で、自然の美しさを静かに感じるひとときとなりました。池を背景に、参加者全員で記念撮影も。
夕食は、古民家をリノベーションした宿泊施設「アオイロ」にて。地元の仕出し屋が用意した料理と地元の酒蔵「大嶺酒造」の日本酒を囲みながら、参加者同士の交流を深める時間となり、初日の締めくくりに相応しい和やかな夜となりました。
午前中は、木村梨農園を訪問。美祢に移住し、新たに梨農園を始めた木村さん案内のもと、梨狩りを体験しました。美祢の梨は「二十世紀梨」が主な品種で、瑞々しい果肉と程よい酸味の味わいは全国有数の産地にも引けを取らないほど。一方で、梨農家の減少という地域課題についてもお話があり、木村さん自身も、移住後に農業を始めた一人であること、周囲の支えを受けながら梨づくりを続けていることをお話いただきました。
続いて、手刈りでの稲刈りを体験。この稲は、前日に訪れた別府弁天池の澄んだ水を使って育てられたお米です。ぬかるんだ田んぼでの作業は、想像以上に体力を使い、参加者は米づくりの大変さを全身で実感しました。
実施内容【第2回:11月15日〜16日】
まずは、美祢市最大の観光名所である秋吉台・秋芳洞の見学からスタート。現地ガイドの解説を聞きながら、長い時間をかけて形成されてきたカルスト地形や洞内の成り立ちについて学びました。国内有数の規模を誇る秋芳洞は、内部空間の広がりや造形の迫力が際立ち、自然が生み出したスケールの大きさを体感する時間となりました。
その後、別府弁天池を訪れ、ニジマス釣りを体験。チームごとに最も大きなニジマスを釣り上げることを目標に挑戦し、釣った魚はフライにして昼食としていただきました。午後は、宿泊施設「アオイロ」で薪割り体験を。美祢で植木職人としても活動する、Cafe Brassの上村さんを講師に迎え、斧やナタを使って挑戦しましたが、用意された薪は想像以上に硬く、参加者は試行錯誤しながら取り組んでいました。
続いて、美祢市でパン屋を営む「練粉屋」の山口さんを講師に、ピザづくりを体験。それぞれが好みの具材を自由にのせ、個性あふれるピザが次々と焼き上がりました。完成したピザをいただきながら親睦会を行い、交流を深めました。
前日にお世話になった山口さんの「練粉屋」を訪問し、ハンバーガーとシフォンケーキづくりから始まりました。店主の山口さんの指導のもと、米粉を使ったバンズやパテづくり、シフォンケーキのメレンゲ立てなどを、チームに分かれて体験。合間には、山口さんが勝っている鶏と触れ合う場面もあり、お店の日常や暮らしを身近に感じる時間となりました。
昼食は、自分たちでつくったハンバーガーとシフォンケーキ。食事を囲む中で、山口さんから移住についてのお話を伺いました。東京から美祢へ移り住み、この地でパン屋を開くことを決めた背景には、「いつかは自然の中で動物たちと暮らしたい」という以前からの想いがあったといいます。実際に美祢を訪れ、物件との出会いをきっかけに移住を決断した一方で、物件購入時の制約や浄化槽の整備など、移住後に直面した現実的な課題についても率直に語ってくださいました。
食事の後には、今回から参加した方もいたため、改めて参加者全員で自己紹介を行い、それぞれの背景や今回の参加動機を共有。体験と対話を経たことで、参加者同士の距離が自然と縮まっていきました。
実施内容【第3回:1月17日〜18日】
年を跨いだ最終回のスタートは、村上農園で美祢市の特産品「美東ごぼう」の収穫体験。農園を営む村上さんも移住者の一人で、現在は奥様とともに、この地で農業に取り組んでいます。収穫場所は秋吉台の裏手にあたる山の上にあり、視界を遮る木々が少なく、広大な景色が広がる開放的な場所。澄んだ空気と見晴らしの良い農地での作業は、日常ではなかなか味わえない気持ちのいい貴重な体験となり、参加者もとても喜んでいました。
こうした土地の恵みの中で育つごぼうは、一般的なものよりも長く育ち、収穫の際にはショベルカーで地面を深く掘り下げ、その穴に人が入って、一本ずつ掘り出していきます。参加者は、夢中になって土の中からごぼうを引き抜き、なかなか抜けないものはお互いに声を掛け合いながら、協力して収穫。ここでしかできない作業に、自然と笑顔もこぼれました。
収穫体験の後は、参加者全員で夕食へ。山口名物の瓦そばとともに、その日の体験を振り返りました。
この日は、参加者が一生懸命収穫した美東ごぼうを使った料理教室を行いました。山口県下松市で料理教室を主宰する藤田さんを講師にお招きし、ごぼうをふんだんに使った料理に挑戦。山口の給食の定番「チキンチキンごぼう」をはじめ、里芋のポテトサラダ、ごぼうの炊き込みご飯、ごぼうのピクルスなど、さまざまな料理をチームで分担してつくりました。
料理が得意な人も、そうでない人も。それぞれに取り組みながら無事完成。やはり、自分たちで収穫したごぼうの味わいは格別ですね。
プログラムの最後には、振り返りを実施。
「プライベートでまた来たい」「参加者や美祢市の方々の話を聞き、将来の自分の理想像を考える時間になった」「皆さんのことを深く知ることができてよかった」といった声が聞かれ、回を重ねるごとに参加者同士や地域との距離が縮まっていく様子が感じられました。
田舎暮らしの良さに触れ、ここでしか味わえない体験を重ねながら、各地から集まった参加者同士が絆を深めたプログラムとなりました。
プログラムコーディネーターへインタビュー

美祢市定住促進協議会
井上 義章 さん
山口県山口市出身。
2020年に地域おこし協力隊として美祢市に移住し、お土産品(「水の雫(琥珀糖)」の商品開発などを行う。任期終了後、別府弁天池近くの築100年余りの古民家を購入し、1日1組限定の宿「アオイロ」をオープン。
Q. 今回プログラムを企画・実施されたきっかけは?
山口県美祢市をもっと知ってほしい!!秋吉台の自然を通じて得られる水や農産資源をより多くの方に知っていただき、作る・加工する・食するといった体感を通じ、美祢市を第2のふるさととしてお迎えいただきたいと思い、企画・実施しました。
Q. 取り組んでみてよかったことは?
稲刈り・パン作り・ごぼう掘りを通じて、参加者同士、共通の目標に向かってお取り組みいただきました。回を重ねるごとに運営側・参加者様の垣根もなくなり、家族や仲間のような一体感が生まれてきたように思います。このプログラムの後も美祢市を訪れていただいた参加者様もいらっしゃり、非常に嬉しく思いました。観光も素晴らしいところが多くありますが、それ以外の自然や空気・水・土に触れ、美祢市を感じていただけたことを大変嬉しく感じました。
Q. 今後の目標は?
「第2のふるさと」を山口県美祢市に!観光とは違うさまざまなプログラムをご提案し、たくさんの方にお越しいただき、また関わっていただきたいと。地域・暮らし・人・自然・文化をご体感いただき、ひとりでも多くの発信者を増やし、世界中の多くの方に山口県美祢市のコトをお話いただけるよう取り組んでいきたいと思います。
参加者からのコメント
・プログラムのクオリティが高く、ますます美祢市を応援したくなった
・美祢市の皆さんとつながることができたので、再び美祢市を訪れるきっかけをつくれた
・たくさんの魅力があり、友達に話したくなった
・大変魅力的な場所で、住んでいる方々も最高
・本当に楽しかった、秋吉台で星空観察したいので美祢にまた行く
・自分たちで収穫し、みんなで調理するのはとても良い


























