プログラム概要
下関市は山口県下唯一の中核市。大型ショッピングセンターや百貨店もある一方、郊外部にはホタル舞う清流も。CMでも放映される角島大橋や冬の味覚の王様「ふく」は全国的に有名。都市圏への利便性もよく、JR新下関駅からJR博多駅まで、わずか28分です。
実施内容【第1回:9月6日〜7日】
JR新下関駅に集合し、その足で県内でも有数の観光地として多くの方が訪れる、唐戸市場見学へ。新鮮な魚介を使った寿司屋海鮮丼、お土産などが所狭しと並ぶ様子を参加者も楽しまれていました。
その後は、赤間神宮や角島大橋などに立ち寄り、夕食に使う食材を各所で集めながら豊北地域に向かい、今回のお宿としてお世話になる「古都富貴旅館」へ。お母さんが一人で営んでおられ、思わず「ただいま」と言いたくなるアットホームな場所でした。夕食を兼ねた交流会会場は、JR山陰本線・阿川駅に小さなまちのkioskをコンセプトに2020年にオープンした「Agawa」にて、地域の皆さん、移住者の皆さんと共に焚き火を囲みながら行いました。本プログラムで大切にされていた【食の魅力】、この日は旬のお魚(鯛、秋刀魚、カマスなど)を贅沢に炭火で。その美味しさに「これは首都圏ではなかなか味わえない」と参加者も喜んでいました。
そして、この日はなんと年に1度の「豊北夏まつり」の開催日、ということで、いざお祭り会場へ。夜の田園風景を横目にたわいもない話をしながら歩くこと約10分。砂浜にレジャーシートを広げ、目の前に広がる海上から打ち上がる大迫力の花火に大感動の夜となりました。
本プログラムの主会場となる中原農園(2024年12月31日閉園)にて、園主を務めておられた静間さんから、こちらの農園のこと、梨のこと、地域のこと、色々なお話を伺った後、いざ梨の収穫体験へ。当時のまま残されている梨園に足を踏み入れたとき、その光景に驚いました!小ぶりながら、閉園後もたくましく育ち続けている梨が木を覆い尽くさんと実っていたのです。思い思いに収穫をする傍ら、その場で味見をする場面も。「甘い!」「美味しい!」という嬉しい感想ばかりで、残暑の中、約1時間ほど収穫体験を行いました。その後は、滝部地域にある「cafe kosaji」にてお昼休憩。特製のビビンバ丼が疲れた身体にとても沁みました。
午後からは、収穫体験に来られた一般の皆さん(約50名)に参加者がレクチャーをしながら収穫をサポート。早くも当事者となった参加者の皆さんは「この農園が今後どのように活用されると良いだろう?」「自分はどう関われるだろう?」など、駅に向かう車中でそれぞれの意見を交換しました。
実施内容【第2回:11月15日〜16日】
第1回よりも少しばかり早めに集合して、この日は唐戸市場の昼食からスタート。すっきりとした秋晴れの海峡を眺めるとっておきの芝生広場で、お寿司や大ぶりの海老フライ、お味噌汁などを堪能しました。その後、下関市・長府商店街の台所として愛される「中浜市場」へ。1955年に設立されたこちらの市場にはお肉屋さんやお魚屋さん、お惣菜屋さんが並び、顔を見合わせながらお店の方におすすめを聞いたり、お話したりできるのも楽しい体験でした。新鮮なお肉とお魚を調達した一向は滝部に向かい、夕食の準備に取り掛かりました。この日のメインは、豪華な舟盛り、猪鍋、モクズガニ。地域に暮らすお母さん、高校生と一緒に和気あいあいと調理を進める中で、改めて豊かな食資源に気づかされました。出来上がった料理を持って、交流会会場へ移動。地域の皆さん、移住者の皆さんそれぞれの視点で滝部の良さを伝えてくださり、参加者の中で、ますます地域に対する解像度が上がっていったように感じました。
屋外での焚き火交流会だったので、ふと見上げた帰りの空には綺麗な星空が広がり、人や食はもちろんのこと自然の魅力も知ることができた1日となりました。
2日目の朝は、美肌効果抜群と地元の方も太鼓判を押される「大河内温泉 いのゆ」へ。とろっとした柔らかなお湯が特徴で、湯上がりの保温効果も素晴らしく、朝から贅沢な時間でした。その後は、中原農園に向かい、古い枝を切り来年も美味しい、立派な梨を育てるための剪定作業を体験しました。はじめは切っても良い枝と残しておいたほうが良い枝の判別がとても難しく、苦戦されていた皆さんでしたが、徐々に見分けられるようになり、「来年も美味しい実をつけてね」という思いで、一本一本、丁寧に取り組みました。剪定を終え、休憩スペースに戻ると、そこには猪鍋の炊き出しが。地域のお母さんたちの温かなもてなしに、心までじんわりと温かくなりました。その後は、剪定した枝を活用したクリスマスリースのワークショップを開催。ずらっと並んだ色とりどりの装飾用パーツ(どんぐり、綿、落花生、まつぼっくりなど)を丸や三角のリースにグルーガンでつけていきました。小さなお子さんからご年配の方まで、自由な発想で世界に一つだけのリースが完成。参加者の皆さんも楽しんでおられ、残ったパーツを持ち帰り、ご自宅で完成させた方も。「梨園」という場所が持つ可能性を多角的に捉え、柔軟な発想でさまざまな人たちと関わっていける、そんな実感を得ることができました。
実施内容【第3回:1月24日〜25日】
最終回となる今回は、家族で営む「地酒のまえつる」で店主おすすめのお酒調達から始まりました。お話を伺えば伺うほど、蔵元を含め、お酒のことが本当にお好きなことが伝わり、思わず話も弾みました。お店を後にして、滝部に向かう道すがら、「ふく」の出汁で仕込んだアツアツ焼きたてちくわをいただきに寄り道。その弾力と美味しさに、皆さんご満悦でした。滝部に着くと、京都から移住された斉藤さんが開店準備を進めている居酒屋「こいもさん」にて、改めて、今回のプログラムを企画・実施している、一般社団法人たきびれっじ※1の紹介と地域散策を。通りを少し歩けば、第1回目には移住を検討中だった方がすでに移住されてお店を営んでいたり、線路沿いにBAR兼宿泊施設の準備を進めている移住者の方がおられたりと、滝部地域がどんどん面白くなっていく様子を目の当たりにして、これからの展開にワクワクしました。
夜は、「こいもさん」で地酒と「ふく」、ジビエを味わう交流会。移住者のほか、地域おこし協力隊や地元大学の先生なども参加いただき、美味しいお酒と料理に話の花も咲き続け、あっという間に夜は更けていきました。
※1「人が集う豊かな北に、焚き火のような温もりある新しい空間を。」という思いで、各種イベント企画運営、空き家利活用等を行っている、滝部の家守
雪がちらつく、体の芯まで冷えるような滝部の朝。プログラムの集大成となるこの日は、中原農園にて前回に続き、剪定作業と焚き木を集めるところから始まりました。今回の剪定は、お役目を全うした古い枝を切り落とし、新たに成長を続ける枝にしっかりと養分を届けるための作業で、前回よりも少しハードルが高くなったように感じましたが、静間さんや地元の方に見分け方などを教えていただき、剪定作業に勤しみました。
その後は、集めた木々を使って焚き火を起こし、参加者全員で火を囲み、お餅入りのぜんざいと、地域の方が有機栽培で育てたサツマイモの焼き芋を味わいながら、これからの関わり方について語り合うひとときに。
「大切な人にもぜひ紹介したい」「さらに深く関わってみたい」といった声もあがり、各回でご一緒した魅力あふれる皆さんのあたたかなおもてなしがあったからこそ生まれた時間だと感じました。
そして何より印象的だったのは、ここで暮らす地元の方や移住者の皆さん自身が、滝部での日々を心から楽しんでいる姿でした。
その自然体の笑顔や暮らしぶりに触れると、訪れた人も思わずその輪の中に加わりたくなる——そんな、言葉では言い尽くせない不思議であたたかな魅力が滝部には息づいています。
今回関わってくださった皆さんと、この場所が再び交わる日もきっと近いはず。そう感じさせてくれる、下関市豊北地域でのプログラムでした。
プログラムコーディネーターへインタビュー

一般社団法人たきびれっじ
妻崎 和雅 さん
生まれも育ちも、下関市豊北町。
豊北地区まちづくり協議会の会長や滝部郵便局長を務めるほか、地域の人々と移住者をつなぐ役割を担い、「ほうほく裏の観光大使」として、地元の素材を活用したカフェ企画、駅のマルシェ、コロナ禍の成人式プロジェクトなど、地元の人も楽しめる地域活性化プロジェクトを数多く手掛けている。
Q. 今回プログラムを企画・実施されたきっかけは?
これまで多くの方に愛されながら惜しまれつつ閉園した中原農園が、このまま廃園になるという話を聞き、何とかして地域でつなぐことができないだろうかと思ったのがきっかけです。収穫体験や剪定作業といった「農園での体験」を通じて、都市部の方と地域との関りを深めたり、あわよくば農園を継いでくれる人が現れないだろうか?という気持ちで今回のプログラムを企画・実施しました。
Q. 取り組んでみてよかったことは?
まずは、今回のプログラムを通じて、地域内外の多くの方が農園に足を運んでくださったことです。農業体験イベントと連携して実施したことで、「キャンプや花見、ドッグラン」といった色んなアイデアが生まれ、梨を収穫するだけでなく、地域の交流拠点としての可能性も見えてきました。また、プログラムに参加された方に、スタッフ側での役割を担っていただいたことで、より地域の方との交流も深まったと感じています。募集時に掲げた3つの約束「地域の未来を繋ぐ、パワフルな食で元気を届ける、田舎のおもろい日常を伝える」も、ちゃんと?形にできたと自負しております。
Q. 今後の目標は?
単年のイベントで終わらせるのではなく、梨園があることで「また来たくなる・また関われる」まちにしていきたいと考えています。そのために、今回のプログラムを通じて築いた人間関係を大切にしながら、「梨の生産だけにとどまらない」様々なアイデアを形にしていき、滞在や食、交流を通じて、人のつながりが生まれ続ける仕組みをつくることが、これからの目標です。
参加者からのコメント
・地域の人の温かさを感じた(豊北町の方たちの温かさとつながりが印象的)
・皆さんがとても好意的に関わってくださり、また会いたいと思える皆さん
・とても魅力的な方々だったので、自分の親しい人にも知ってほしい気持ちになった
・素敵なおもてなしをいただき、感謝の気持ちでいっぱい


























