プロジェクト概要
日本最大級のカルスト台地・秋吉台のある美祢市は、山口県西部のほぼ中央に位置する中山間地域。市内全域がMine秋吉台ジオパークに認定され、豊かな自然に恵まれたまちです。大田地域は美祢市の東部にある地区で、人口総数1,575人(令和5年)、代表的な特産品として美東ごぼうがあります。しかし、地域の中心にある大田小学校はある程度生徒数を確保しているものの、総人口や生徒数の経年変化をみても減少傾向にあり、地域全体として高齢化も進んでいることにより、地域内でのコミュニティの減少や個人間のコミュニケーション不足が喫緊の課題となっています。
今回のプロジェクトには神奈川県や大阪府、奈良県、兵庫県、熊本県などから計8名の方が参加され、美祢市が誇る観光資源散策や大田地域のフィールドワーク、ワークショップを通じて地域の皆さんと交流を図りながら、プロジェクトやまちへの理解を深めました。
実施内容【9月14日〜15日】
夜は交流会を兼ねて、参加者全員によるバーベキューを。特産の梨を使った日本酒やとれたてのイチジクといった豊かな地元食材も味わってもらい、食の魅力にも触れていただく機会となりました。
ワークショップの中では、大田地域にはたくさんの空き家がある一方、空き家バンクに登録されている数が非常に少ないという「空き家問題」にも焦点をあて、現地調査や地域の人のお話を聞きながら、直接どの家が空き家となっているのかを調べ、情報を落とし込んだ空き家MAPの制作も行いました。
プロジェクト実施団体へインタビュー
大田地域ふるさと再発見同好会
井上 萌来 さん
小学1年生〜5年生までの5年間を大田地区で過ごし、現在は立命館大学大学院生として、都市計画 地理学 3Dモデリングを専門に研究を行っている。地域のまちづくりに興味を持つようになり、自身が最も好きな地域・大田地区が盛り上がる新しいプロジェクトを実施したいと考え、山口県初となる集落の教科書「はじめての大田地域」を制作するプロジェクトを立ち上げる。
Q. 今回プロジェクトを企画・実施されたきっかけは?
大学で都市計画やまちづくりを学んだ際に、自分の地元の山口県美祢市大田地域ではそのようなまちづくりが行われているかと言うのが気になったことがきっかけです。その後、美祢市役所さんと様々協議していく中で「はじめての大田」を作るきっかけをいただき、昨年度作成しました。昨年のものはversion1ということで、情報が足らない部分も多かったのですが、今年度のversion2では地域の情報を拡充し、より移住・定住者に寄り添った情報を記入することができました!
Q. 取り組んでみてよかったことは?
まず昨年度に比べて、関西や関東、九州など様々な地域の人に参加していただきました。これは大きな進歩だと思います。加えて、昨年度に続いて参加してもらうことができた方も多かったので、地域の方々と関係人口の方々とのつながりがより強化されたと考えています。また、今回のプロジェクトでは、美祢市と協力し、空き家問題の解決へつながるようなデータも収集できたため、このプロジェクト以外の橋渡しにつながったこともよかったです。
Q. 今後の目標は?
「はじめての大田」のアップデートは引き続き続けていきますが、地域の方々及び関係人口の人が「はじめての大田」を直接作成できるような形に進めていきたいと考えています。また、「はじめての大田」を、地域内学習にも使えるようなツールとして、小学生への知名度の向上や、関係人口になり得る方々への多様な配信活動をしていくことを目指しています。最終的なゴールとしては、「はじめての大田」を関係人口や地域の小学生、地域の方々、美祢市役所など、様々な人が関わる1つのプラットフォームのような形にしていきたいなと考えています。
参加者からのコメント
※観光しつつ文化や食に触れることができ、また地域の方に案内いただきながらまちを歩くことができ地域の理解を深めることができた
※地域住民の方と、移住者にどう来てもらうか等のまちづくりワークがとても良い経験になった
※地域の方との交流で、生活面や住んでいる地域の人との関わり方において、当たり前のことがあまりに違いすぎてびっくりした
※まちを知り、それらを残していくという中で様々な体験が織り交ぜられていてよかった
※都会のベッドタウンで生まれ育ったため、美祢市大田のような地域の方との交流のあるふるさとに憧れる