プログラム概要
山口市は山口県の中央部に位置し、各地から好アクセスであることに加え、海と山の豊かな風土に恵まれた“ちょうどいい”田舎。
その一方で、人口減少や高齢化による地域の担い手不足、空き家の増加や遊休農地の活用難などといった課題も見られます。
実施内容【第1回:7月20日〜21日】
(1日目)
オリエンテーションとして自己紹介、本プログラムの趣旨や目的、具体的な行程などを改めてインプットするところからスタートすることで、参加者全員が共通認識を持ってプログラムに臨むことができました。
その後は、築100年を超える古民家で山口県産食材をふんだんに使ったレストランを展開する、本プログラムのキーパーソン「mitsuwa」の三和靖子さんから、自家農園をご案内いただきました。思いっきり息を吸い込みたくなる、広々とした気持ちの良い畑では、さまざまな野菜やハーブが育てられ、その種類や力強さ、今日に至るまでの苦労や工夫に参加者も驚きと感動の表情を隠せません。自家農園から歩くこと約1分。本プログラムのメインとなる改修物件「環る(めぐる)古民家」へ。「mitsuwaだけの古民家でなく、みんなが挑戦しやすい場をつくり、人がつながり、地域が循環する施設を目指す」という三和さんご夫妻の想いに触れ、参加者は朧気ながらも初めて訪れた地域や場所で挑戦したいこと、取り組みたいことを思い描きました。
夜は、「環る(めぐる)古民家」にて、自家農園で採れた新鮮な野菜を贅沢に炭火でいただくバーベキュー交流会を開催。実際に目にして、歩いた農園で力強く育った野菜をいただきながら、人と食の魅力を知っていただく機会となりました。
山口市鋳銭司にて、ぶどう園を営むもう一人のキーパーソン、「の村ぶどう園」の野村翔多さんから、地域やぶどう栽培、数年前から取り組まれている「益次郎ワイン※1」のことなどを伺いました。
その後、収穫に向けた大事な手入れ「玉直し※2」をレクチャーいただき、次回プログラムで立派なぶどうが収穫できるよう、一つひとつ、丁寧に取り組みました。
しっかりと汗をかいた後は、地元の温泉でリフレッシュ。
昼食は、mitsuwaにて自家製バジルソースたっぷりのジェノベーゼパスタに舌鼓。お腹が満たされたところで、地元で活動している方々も交えながらワークのお時間。「人々の食と暮らしが豊かになるには?」「どのような施設があったらいい?」などなど、それぞれの経験や視点で「環る(めぐる)古民家」がどのような場や機能であってほしいかを考え、シェアしました。
※1鋳銭司ぶどう組合、地域おこし協力隊、鋳銭司自治会、地元酒店他有志の協力により誕生した新しい鋳銭司の特産品
※2ぶどうの房に実った粒同士が均等に成長できるよう、余分な粒を取り除き、形を整える作業
実施内容【第2回:9月13日〜15日】
(1日目)
の村ぶどう園にて、お待ちかねのぶどう収穫を体験しました。一粒一粒が大きく、艶々の果実をたわわに実らせたシャインマスカット、スカーレット、瀬戸ジャイアンツなどを自分たちの手で収穫し、市場へお届けする最後の出荷作業までお手伝い。最初はぎこちなかった皆さんも、終盤には「こうすればより美味しそうに見える」「品種を見分けられるようになってきた」など、頼もしい成長を見せていました。
夜は、山口市内で活動する事業者や地域おこし協力隊の方々と交流会を開催。ぷりっぷりのお刺身やお肉、市内北部で獲れたお米を使用したおむすびなど、地元食材の豊かさを実感する時間となりました。
mitsuwaの絶品朝ごはんから始まりました。おかず一つひとつから伝わる丁寧な手仕事、古民家に漂う炊き立てのお米とお味噌汁の匂い。しっかりとエネルギーチャージをした後は、いざ「環る(めぐる)古民家」のDIYへ。参加者は、大きく分けて3つの作業(漆喰塗り、ペンキ塗り、カウンター作り)を担当し、三和靖子さんをはじめ、地域のDIY仲間の方々にも加わっていただき、埃やペンキの汚れも気にならないほど、全員で熱中・没頭しました。約5時間、少しずつですが、形になっていく壁やカウンターの様子にやりがいや愛着を感じながら、和気あいあいな雰囲気と真剣さが共存するDIY体験となりました。中休みでいただいた昼食「mitsuwaのカレーライス(お肉は山口県阿武町で飼育された無角和牛を使用)」が格別だったことは言わずもがなです。
1日目に収穫したぶどうを使ったフルーツ大福づくりを、昭和28年創業、地域で愛されるお菓子屋さん「銭の菓子本舗」の皆さんに習いながら体験しました。口に入れた時に、ぶどう本来の瑞々しさと白餡の上品な甘さが調和した大福になるように考えられているそう。お母さんたちの素朴で素敵なお人柄も相まって、その美味しさに参加者は感動していました。
その後は、山口市名田島の田園地帯にぽつんと佇む、古民家カフェ「NATAJIMA-BASE」でランチをいただきながら、こちらを運営されている山下さんご夫婦にお店や地域のことを伺いました。
ランチ後は、次回のお披露目会に向けたプランをそれぞれに発表。「料理やコーヒーを提供したい」「音楽もあると良さそう」「地域の方がふらっと立ち寄れる場所に」など、具体的なアイデアを共有し、一体どんなお披露目会になるのか、想いを馳せながらお店を後にしました。
実施内容【第3回:11月22日〜23日】
(1日目)
「環る(めぐる)古民家」にて、鹿皮を使ったキーホルダーづくり体験からスタート。黒や藍、ベージュにオレンジ。色合いだけでなく、手触りや風合いも異なる鹿皮の中からお気に入りの素材を選ぶのも、ワークショップの醍醐味ですね。体験後は、お披露目会に向けた最終準備として、提供するお料理の下ごしらえや床や壁、玄関周りのお掃除など、せっせと取り組みました。
夜は、山口市徳地地域で開催されていたワーケーションプログラムを訪ね、まるで親戚の集まりのようなアットホームな雰囲気の中で交流会を開催。地域で作り続けられているモクズガニのお汁やほっかほかの釜炊きご飯、徳地地域で150年以上の歴史を持つ伝統野菜「やまのいも」などを酒の肴に、本プログラムで関わらせていただいた「益次郎ワイン」をいただき、何とも言えない多幸感に浸った夜となりました。
朝活ウォーキングから始まりました。11月下旬、ひんやりとした朝の空気を纏った山口市佐山地域の静かな田園風景と朝日を見ながら、ゆったりと歩くひと時。何度も訪れた場所、気心の知れた仲間と一緒だからこそ、何でもないこの時間が、特別なものに感じられたように思います。
心地よい疲れを感じた後は、mitsuwaにて、骨までしみる朝ごはんを。本プログラムを企画した中岡さんが「骨までしみる」と表現されていた意味を、ようやく身をもって感じることができたように思います。「環る(めぐる)古民家」に移動し、会場設営、料理、火おこしなど、お披露目会の最終準備に取り掛かり、あっという間にスタートの時間がやってきました。色鮮やかで新鮮なお野菜をふんだんに使った料理の数々(もちろん三和さんご夫婦が育てられたもの)、その中には、プログラム参加者が腕によりをかけて作った料理も並びました。
そのほか、じっくり時間をかけた焼き芋やその場で淹れていただけるコーヒー、マッサージ屋さんまで。食事や火を囲んで談笑する地域の皆さん、その場を作り上げてきた、三和さんご夫婦や本プログラム参加者を見たときに、改めて「環る(めぐる)古民家」に温かな血が通い始めた、そんな感覚を覚えました。
プログラムの最後に全3回の振り返りを行う中で、「これからも必ず関わっていきたい」「穏やかな場所で働く、その場所として山口を選べたら」など、3回の訪問を通じて、参加者から当事者へとつながる関係が築かれた、山口市南部地域のプログラムでした。
プログラムコーディネーターへインタビュー

Kizuku Project
中岡 佑輔 さん
兵庫県神戸市生まれ。2児男子の父。
2019年に地域おこし協力隊制度を活用して山口市へ移住。レザークラフト活動の傍ら、協力隊1年目に、自然や素材の豊かな山口暮らしの“気づき”を価値に変える仕事をしたいと思い、「Kizuku Project」として再起業する。主な業務は、レザークラフト関連業、地域と人をつなぐコーディネート、イベントの企画運営、その他地域活動など。
Q. 今回プログラムを企画・実施されたきっかけは?
私は、地域おこし協力隊として山口市ナンブエリアへ移住して7年になります。特に協力隊時代は全てが新しい体験で、地域の人と触れ合う中で自分の考え方や価値観が変わっていきました。その新しい自分への“気づき”を生むことこそが豊かさだと感じ、そんな体験ゴトのサポートがしたいと思うようになりました。今回のプロジェクトは、人、素材、環境を通して地域に入り込んで、等身大の地域を肌で感じていただきたいと思ってました。
Q. 取り組んでみてよかったことは?
テーマは“共感・共創・共有”。年3回同じ参加者をお招きし、地元のメインプレイヤーと共に体験していただけた結果として
① 参加者+地域メンバーで空き家をリノベし、リアルなつながりしろを構築
② 関わっていただいた地元民と参加者のネットワークの構築
③ メインプレイヤー・地域へのファン化を構築
したことで、その後も自発的に地域へ通っていただいている方もいます。
また、並行して地域の方への活動周知の場にもなり、これからのビジョン共有もできたことはなによりの収穫です。
Q. 今後の目標は?
今回のような地域内外の接点を通じて地域に愛着を持つ方を増やし、同時に地元の受け入れ態勢や案内役となり得るプレイヤーも増やしていきたいと思います。個人的にも宿泊施設の運営も視野に入れつつ、常に共創・共有を意識し、それぞれの新しい価値観を引き出したいと思っています。
参加者からのコメント
・日常生活では知り合うことができなかった方々と出会い、ともに人が集まる場所を作るという、とても貴重な体験を共にできた
・このようなプロジェクトに参加される方々はそれぞれ思いを持って参加されているからこそ、こちらも学びがあるし、話していると心が豊かになる
・ここだからこそ味わえる空間、魅力、人、食、これからも必ず関わっていきたい
・穏やかな場所で働きたい思いに、山口県をその場所として選べたらと思う
・まだ続きがある気がしている
・観光とは違う、地域に近しいところで生活や地域課題に携わったり、地域にの未来に関与する貴重な経験ができた




























