美容を通じて東京と山口県・萩市をつなぎ、技術やトレンドをシェアしながら、地域の魅力を発信したい

キレイをシェアする町づくりで地域を元気に

東京・代々木公園近くの『aina-hair(アイナヘアー)』と山口・萩市のシェアサロン『anna HAIR(アンナヘアー)』を行き来しながら、東京で磨き続ける高度な技術や最新情報などを地元・萩市のシェアサロンで提供している林杏奈さん。

芸能人やモデルを含め、幅広い世代から支持されるスタイリストとして顧客を増やす中、美容と福祉をつなぐボランティア活動として高齢者施設で訪問美容をしたり、地域交流として夏祭りや地域のイベントでヘアメイクやヘッドスパを出店したり、幅広く活躍。また、『ダイヤの原石プロジェクト』と題して存在感のある中高生モデルを発掘し、東京で活躍するスタイリストが選んだ洋服を着せてヘアメイクを施し、「萩城跡」や「須佐ホルンフェルス」などの文化遺産や自然などを背景に撮影した写真をSNSで発信しています。

山口県・萩市で東京と同様のヘアサロン体験を

高校まで萩市須佐地区で過ごし、東京の美容専門学校へ進学。卒業後は東京の美容室に勤めながら、年2回は大好きな地元・萩市に帰省していたという林さん。萩市須佐地区で花火大会がある日に合わせて帰省し、アレンジサロンなどを限定的に開くなど、東京と山口を行き来する中、萩市でも活動したいという気持ちが膨らんでいったそうです。

「美容業界ではどんどん新しいものが出てくるため、東京にいる方が技法や商品、情報の鮮度まで入手しやすい環境があります。地方だからとあきらめるのではなく、私自身が東京と山口を行き来することで、その環境のギャップを少しでも埋めることができたらと、2拠点で活動することを決めました」と林さん。

少しずつ準備を進め、約6年前にはフリーランスに転身。東京と山口での2拠点活動をスタートしました。「当初は価格設定やサービスに対する価値観の相違などから周囲の理解を得ることが難しいと感じたこともありましたが、山口県の行政関係者や先輩移住者、地域のキーパーソンの方々と出会い、活動の場や顧客数を広げることができました」。

テーマは「誰もが美しくいられる町づくり」

林さんが大切にする活動の1つに、美容福祉活動があります。東京でも山口でも行う高齢者施設への訪問美容サービスでは、「歳を重ねてもキレイでいたい」という女性の願いを叶えたいと、髪を整え、メイクを施しています。

「高齢者施設の美容福祉活動の多くは、美容より理髪の要素が大きく、オシャレを心から楽しめるものは少ないと感じていました。実際にヘアメイクをして喜ばれている姿を見ると、歳を重ねてもキレイでいたいという想いは多くの人が持っているのだと感じました」。

幼い頃からオシャレな祖母の影響を受け、高齢者とも接する機会が多かった林さんにとって、美容福祉活動は自身のモチベーションにもつながっているそうです。

「いくつになってもキレイになるのは女性にとって嬉しいもの。女性である喜びを感じて、キレイになることを楽しんでいただきたいですね。楽しむことで元気になって欲しいですし、美容の力で現場を応援することで、地域社会がより良く変わればと思っています」。

年齢を問わず、キレイでいることで心が豊かになり、人々が元気になり、地域も元気になるのではというのが林さんの想い。今後も美容の持つ力で「誰もが美しくいられる町づくり」を実現したいと考えています。

土着文化を知り、本質に触れ、育まれる価値観

「地元を出て東京で暮らすようになり、現在も2拠点活動を続けることで、都会と地方の人とのつながり方や文化の違いを知ることができた」と林さん。

「特に強く感じるのは、お祭りやイベントの時ですね。夏祭りは豊作を祈願するなどの神事がベースにありますが、東京では商業的な目的が強まり、本質の部分を感じる機会が少ないように思います。集まった人々もただ楽しんでいるだけで、神事だったことすら知られていないというか…。夏祭りや秋祭りなど、深い意味合いを受け取りやすいのも地域の持つ良さではないでしょうか」。

そんな林さんが感じる萩市の魅力は、自然との距離が近いこと。「モノやコトのありがたみだったり、謙虚な価値観だったり。都会だと対価を支払って手に入るモノは多くありますが、モノやお金の価値が豊かさを表すのではなく、お金では買えない豊かさがあちらこちらに点在しているのも萩市の魅力かも知れません」。

自然の循環の中で生きる大切さ、それを幸せと感じる心の豊かさを知ることで、都会での暮らしにも変化が現われたそうです。

「食品ロスを意識したり、リサイクルできない商品を極力買わないようにしたり、消費者としての価値観や商品を選ぶ基準が変わりました。無駄がなくなり、自然の循環を大切にする生き方になり、仕事もお金を稼ぐためではなく、自分がやりたいと思えることをやっていくことで、人生をより良くしたい、豊かになって欲しい人やサービスにお金をまわしたいという意識が芽生えましたね」。

地方の良いところ、都会の良いところ、2拠点で活動する林さんだからこそ気づくことができた魅力を発信し、周囲の人々とシェアしていけたらと話します。

新陳代謝を続け、錆びることなく感性を磨く

山口で過ごす休日には、土着した地元の文化に触れたいと、農業や芸術との出合いを楽しんでいるそうです。焼き物の里を訪ねたり、地域の祭りやイベントに参加したり。町を歩くだけであちらこちらに芸術や文化が散りばめられていて、すぐそこに自然の豊かな色彩や風景を眺められることで感性を磨くことができるのも萩市の魅力だといいます。

そんな林さんの今いちばんのお気に入りスポットは、実家の枯山水の庭。山のレイヤーや谷を望む借景が見事な絶好のロケーションに自然の美しさを噛みしめているそうです。

「縁側で母の髪をカットしていると、枠のない自然の美しさを体いっぱいに感じて気持ち良く、そんな自然のロケーションと同化する場所で開放感あるサロンをつくってみたいと思いました。これからも都会の良さと地方の良さ、どちらにも触れることで私自身も錆びることなく新陳代謝していきたいですね」と林さん。

次の目標は、シェアサロンではなく自身のサロンを構え、自分らしい特別な空間をカタチにして表現すること。「美容をテーマに高い意識を持つ人々が集う場所をつくりたいですね。老若男女、誰もがキレイになれるコンテンツはいくつもあります。美容を通して世代を超えた交流を楽しみ、それぞれが新しい刺激や発見にワクワクし、人が優しくつながっていくサロンづくりをめざしています」。

美容を通して地域活性につなげられたら嬉しいと話す林さんの活動は、人々に新しい刺激やワクワク感とともに、ほっこりした温かみや優しい感動を与えてくれます。

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