プロジェクト概要
日本最大級のカルスト台地・秋吉台のある美祢市は、山口県西部のほぼ中央に位置する中山間地域。市内全域がMine秋吉台ジオパークに認定され、豊かな自然に恵まれたまちです。大田地区は美祢市の東部にある地区で、人口総数1,640人(令和2年度時点)、代表的な特産品として美東ごぼうがあります。しかし、地域の中心にある大田小学校はある程度生徒数を確保しているものの、総人口や生徒数の経年変化をみても減少傾向ではあり、地域全体として高齢化も進んでいることにより、地域内でのコミュニティの減少や個人間のコミュニケーション不足が喫緊の課題となっています。
プロジェクトには東京や大阪、京都、兵庫、大田地区出身・山口市在住の方々にご参加いただき、地域の皆さんと交流を深めながら地域の情報収集・とりまとめ、カレンダー&マップづくり、冊子の編集を進めました。
その後、完成した冊子を地域の子どもたちにも知ってもらうため、大田小学校でお披露目会を実施。後日、児童たちからお礼のメッセージが届きました。
実施内容【第1回ワークショップ:8月26日〜27日】
約半日かけてとりまとめた手づくりの大田地区マップ&カレンダーを手に、最後は参加者の皆さんと地域の方々でにっこり記念撮影。「ぜひまた来たいです!」、「また来てね!」とお互い声をかけあっている姿が感動的でした!
実施内容【第2回ワークショップ:10月15日】
第1回のまちあるき&ワークショップから約2か月後、参加者の皆さんから「ぜひまた行きたい!」という要望があり、第2回のワークショップを行いました。前回協力いただいた地域の方々も再集結してくださり、第1回ワークショップでとりまとめたマップ&カレンダーのブラッシュアップを行い、冊子づくりのベースを整えました。
さらに、急きょまちあるき第2弾を実施し、追加で必要な写真撮影を行うことに。参加者の皆さんと地域の方々の交流がさらに深まったブラッシュアップの場となりました。
実施内容【お披露目会:2月7日】
2回のワークショップやまちあるきを実施して、来年度以降の作成を検討していた冊子が12月中に完成できる目処が立ったため、ぜひ地域の次代を担う子どもたちへ成果品をお披露目したい。という話が持ち上がり、大田小学校の先生や美祢市役所の方々のご協力のもと、大田小学校の6年生21名に「はじめての大田地域」をお披露目することができました。
プロジェクト実施団体へインタビュー
大田地域ふるさと再発見同好会
井上 萌来 さん
小学1年生〜5年生までの5年間を大田地区で過ごし、現在は立命館大学大学院生として、都市計画 地理学 3Dモデリングを専門に研究を行っている。地域のまちづくりに興味を持つようになり、自身が最も好きな地域・大田地区が盛り上がる新しいプロジェクトを実施したいと考え、山口県初となる集落の教科書「はじめての大田地域」を制作するプロジェクトを立ち上げる。
Q. 今回プロジェクトを企画・実施されたきっかけは?
大学でまちづくりを学んでいく中で、自分の故郷だと思っている美祢市、特に大田地域はどのようなまちづくりをしているのだろうか?と思ったことがきっかけでした。美祢市の方とお話させていただく中で、自分が先頭切って何か新しいことができるのではないか。と考えはじめ、全国各地で少しずつ取組が広がっている移住や定住促進のための『集落の教科書』というものをベースに、『はじめての大田地域』という本をつくるプロジェクトを立ち上げることにしました。
Q. 取り組んでみてよかったことは?
まずはカレンダーづくりからスタートしようと思っていたのですが、最初のワークショップで、地域住民の方々が積極的に協力してくださり、地域のさまざまなお話を聞くことができました。当初、本として形にするのは来年度以降の取組になるだろうと想定していたのですが、内容を拡充して本として完成できたのはかなりの収穫でした。一方で、今回関係人口として参加してくれたメンバーの拠点が、大阪・兵庫・京都在住とバラバラだったため、現地でのワークショップ後の制作にかかる情報交換には苦労しました。解決策として、最終的に共有ドライブを活用した編集フォーマットができたのは、今後のためにもよかったです。
Q. 今後の目標は?
今回足りていなかったのは、移住者・定住者へ向けての行政のオフィシャルな情報でした。加えて、地域の濃い内容(地域特有のルールなど)も情報として加えていけたらと思っています。このプロジェクトを通して、移住者が増えることがメインの目的ではありますが、まずは関係人口になっていただけそうな人たちを増やすことが重要だと考えています。そのような人たちが大田を知るきっかけとして、山口県内初の集落の教科書『はじめての大田地域』が活用されたら嬉しいですね。
参加者からのコメント
最初プロジェクトの話を聞いた時は、「なんか楽しそうだな」と軽い気持ちで参加しました。でもそこから、大田地域のことを考えたり、昔の祭りのことを知ったりするうちに、ここから新しいことができるかも。という思いが強くなってきました。もともと大田地域の出身なので顔見知りの方もいらっしゃって、お話が聞きやすかったことと、自分の知らなかったこと・新たな発見もあり、一緒に学びながら地域の教科書をつくることができて嬉しかったですね。今は山口市に出ていますが、将来は大田に戻ってきたいという気持ちもあるので、一度出ているからこその視点も活かしながら、これからも一緒に活動を続けていきたいと思っています。
(山本 大成 さん・山口市在住)